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あせらずやろうよ!-素質から能力へ-

前回はGritの考えている基本とは何かということをお伝えしました。Gritの基本とは、ふつうには「考える力」といわれているものでした。そして、どうしたら「考える力」をつけることができるか、ということから基本練習法について考えてみました。今回は少し角度を変えて、「考える力」をつけるためには時間がかかるということ、本当の意味で勉強の基本を身につけるためには、長い眼で見ることが必要だ、ということについて考えてみましょう。

可能性の二種類

塾に新しい生徒A君が入塾してきたとしましょう。A君が真面目に勉強に取り組んでくれれば2、3ヶ月で成績が上がりかなり学力が伸びます。それは、それまであいまいだった知識が定着し、また頭の中でバラバラになっていた知識が教師の手助けで整理されてくるからです。しかし、しばらくするとそれまで順調に伸びていた学力の伸びが頭打ちになってきます。A君としては今までと同じように勉強に取り組んでいるのに進歩が止まってしまったように思われます。学力の伸びが、いわば平行線になっている時期がしばらく続くことになります。
こうしたことはA君だけにおこることではありません。どんな生徒にも学力が順調に伸びている時期と、努力してがんばっているのに学力の伸びが止まってしまう時期が交互に訪れてきます。そして、どんどん伸びている時期よりも、伸びがとまっている時期のほうが時間的にはずっと長いものです。どうして、こういうことがおこるのでしょうか。また、学力の伸びが平行線の時期にはどう対処したらよいのでしょうか。
ヘーゲルという哲学者が、可能性には二種類あると言っています。すなわち、抽象的な可能性と実在的な可能性を区別しなければならないと言っています。哲学者ですから言葉づかいがむずかしいのですが、抽象的な可能性とは、要するに、人間でいえば素質のことです。素質はそのままでは能力ではありません。よい環境の中で努力を続けなければ、素質から能力が形成されることはありません。努力の結果、練習の結果形成された能力、これが実在的な可能性です。では、なぜヘーゲルは実在する能力を可能性と言うのでしょうか。それは、いくら能力があってもそれを使わなければ宝のもちぐされになってしまうからです。使われない能力はどんな成果も生み出すことがないからです。

長い眼が大切

さて、ここでまたA君の例にもどりましょう。A君が入塾当初どんどん学力を伸ばしたのは、A君の能力、実在する可能性を、塾という環境の中で、教師の刺激を受けて使うようになったからです。しかし、手持ちの能力で行けるところまで行くと学力の伸びは止まってしまいます。そうして学力の伸びが平行線の時期に入ってきます。そこでA君のするべきことは何でしょうか。それは、まだ素質という抽象的な形の可能性から現実的な能力を形成することです。しかし、素質は何もしないで能力になるわけではありません。頭を鍛えなければなりません。すぐに目に見えるような成果が現れなくても、焦らず練習を続けなければなりません。そして、そういう着実な練習を続けていると、あるとき急に、今までできなかったことができるようになっていることを発見します。それまで素質にすぎなかったものが、現実の能力に変わったのです。能力が今までより一段高まったのです。
Gritの「考える力」をつけるための基本練習法とは、このような素質から能力を形成するための練習法です。したがって、それはすぐに成果が目に見える形で現れるようなものではありません。しかし、本当の意味で能力を高めるためには他のやり方は考えられないのではないでしょうか。焦らず、じっくり頭を鍛えましょう。

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