勉強=考える力 - 思考力重視 ‐
学年が進むにつれて学習内容がむずかしくなり、勉強がだんだん大変になってきた、これは多くの生徒の実感ではないでしょうか。しかし一方では、勉強が苦にならず、むずかしそうに見える新しい単元にも前向きに取り組み、それをすぐに自分のものにしてしまう生徒もいます。いったいこの違いはどこからくるのでしょうか。それはつまり思考力のあるなしです。考える力がある生徒は、それまでに自分が獲得した知識や技能を新しい内容を勉強するための道具として使いこなしています。考える力とは、具体的には、既習知識を問題解決のためにフル活用する能力に他なりません。したがって考える力をつけるためには、まず第一に、学習内容を考える道具として、使える形で頭に取り入れること、そして第二に、その既習知識を使いこなす練習をすることが必要だということになります。そして教師の役割とは、授業を通じて上記の二つのことを生徒に練習させることとはなりますが、しかしそれがむずかしい。なぜなら、この道具は頭の中にある道具であり、道具を使うといっても、それは頭の中で行われている作業なので外からは見えないからです。
しっかり憶える。ちゃんと分る。
私たちが思考力の養成ということで授業の中で気をつけていることは、当り前のようですが、生徒に学習内容をしっかり憶えてもらい、ちゃんと分ってもらうということです。ウロ憶えの知識は考える道具としてはまったく使えません。また逆に道具として使えないことは憶える必要はありませんから、憶えるべき内容は厳選しなければなりません。ここは教師の腕の見せ所の一つでもあります。
繰り返しになりますが、学習内容をぼんやり理解したという程度では、考える道具としては使いものになりません。生徒の内容理解を実感として分ったというレベルにまで引き上げる必要があります。そのためには、まずもって、単元の導入授業が大切となります。生徒たちが知りたくてたまらない状態に雰囲気を盛り上げ、できるだけ生徒たちの頭を働かせておかなければなりません。ある種の感動、驚きを伴って吸収したものはなかなか忘れず、いつでも取り出して使える状態になっているからです。
さらに、私たちが既習知識を道具として使う練習で用いている方法は「基本に戻れ」というやり方です。分らなくなったら、やみくもに考えるのではなく「基本に戻れ」です。そこへ戻らなければならない基本とは、自分が使いこなせるようになっている既習知識です。
これからも悪戦苦闘は続きます
開校以来、私たちは生徒自身が自分の頭で考える力を養成しようとしてきましたが、いまだ悪戦苦闘の日々です。しかしながら都立独自入試高、難関私立高、さらに都立中高一貫校などの入試で実績をあげていることからも、私たちの思考力重視の方針は大筋では間違っていなかったと自負しています。今後とも経験を積み、蓄積を増やし、一歩一歩前進していきたいと考えています。